ある面積をもつ三角形のなかで最も周の長さが短いもの

作者: 藤本誠二 <fujimoto@ceptord.net>
更新: 2018年09月24日

これは正三角形になります。このことは次の考察から確かめることができます。

考察: 底辺と高さを固定した三角形の周の長さ

底辺の長さがa、高さがhである三角形を考えます。 この三角形の面積は、三角形の面積の公式より ah/2 です。 考察のために、この三角形を次のように座標系に起こします。

このうち、点CのX座標は厳密には定まりません。 というのは、この座標をどのようにとっても底辺と高さの条件を満たすからです。 そこで、Cが座標のどの位置にあるときに、 三角形ABCの周の長さが最小になるかを考えてみましょう。 三平方の定理を使って、三辺の長さの和を求めると、次のようになります。

最小値を求めるために、関数の微分をとります。 合成関数の微分則を使えば、次の式が得られます。

この結果をもとに f'(x) = 0 とおいて、関数の極値を求めます。 まずは右の分数を右辺に移項して、

両辺を二乗して平方根を消し、

そこから両辺の分母を掛けて、

式を整理すると、

この方程式のただ一つの解が求まります。

この解は関数 f の大域的な極小点(最小点)となることに注意してください。 このことは、導関数 f' がすべての実数に対して定義された連続関数で、 X軸とはただ一つの点 f'(a/2) = 0 だけで交わり、さらに f'(0) < 0 かつ f'(a) > 0 であるという事実から推論することができます。

また、直線 x = a/2 が底辺ABの垂直二等分線となることにも着目しましょう。 点Cがこの位置にあるとき |AC|2 = |BC|2 = (a2/4 + h2) が成り立つので、三角形ABCは線分ABを底辺とする二等辺三角形になります。

したがって、ここまでの話を整理すると、「ある底辺と高さをもつ三角形のなかで、 もっとも周の長さが短いのは二等辺三角形」ということがわかりました。

最小の周を持つ三角形が正三角形となる理由

以上の考察から、周の長さが最小となる三角形は、 正三角形でなくてはならないことが導き出されます。

任意の正三角形ではない三角形を考えます。正三角形ではないということは、 この三角形のうち少なくとも二つの辺は長さが等しくないことになります。 この等しくない二辺を上図の線分AC・BCとみなしましょう。 残りの一辺は、底辺であるABとおきます。

先ほど証明した定理より、点Cを底辺に水平に動かして、 線分AB・BCが等しくなるように変形させると、 面積を保ったまま、より短い周をもつ三角形が構成できます。 この三角形が正三角形でなければ、 また適当な辺をとって同じ操作を繰り返すことで、 さらに周の長さを短くすることができます。 この操作は一般に際限なく繰り返すことができ、キリがありません。

言い換えると、正三角形ではない三角形については、同じ面積を持つ、 より周の長さが短い三角形が常に存在します。したがって、 最小の周をもつ三角形が存在するなら、論理的帰結として三辺の長さは必ず等しくなるはずです。

多角形に議論を拡張する

このアプローチの優れたところは、n > 3 の場合に議論を拡張できることです。 すなわち、一定の面積で最小の周を持つN角形が存在するなら、 その多角形のすべての辺の長さが等しくなることを、これまでの議論から導き出すことができます。

具体例として、四角形について考えてみましょう。 まず、適当な四角形をとります。ある辺と隣の辺の長さが異なっているとすると、 その二辺をAB・BCとおいて、残りの一点をDとおき、以下のように図に起こします。

ここで頂点Bを線分ACの垂直二等分線上に水平移動させた点をB'とします。 前節の議論から、三角形AB'Cは三角形ABCと同じ面積を持ちながら、より短い周の長さを持ちます。 線分ACは二つの三角形で共通なので、 これは |AB| + |BC| > |AB'| + |B'C| が成り立つことを意味し、 したがって、四角形AB'CDは、もとの四角形ABCDよりも短い周の長さを持つことが分かります。

ゆえに、四つの辺の長さが等しくない四角形については、 同じ面積でより周の長さの短い四角形が必ず存在します。 よって、ある面積を持つ四角形の中で最小の周を持つものが存在するなら、 少なくとも、すべての辺の長さが同じである(つまり菱形である)必要があります。

参考文献

志賀浩二「微分・積分30講(数学30講シリーズ)」(朝倉書店、1988年) p49-50


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